AI活用を進めたいけれど、社内に詳しい人がいない。何から相談すればよいかもわからない。
こうした場合、外部の専門家に相談するのは有効です。ただし、AI活用の相談先にはいくつか種類があり、自社の状況に合わない相手を選ぶと、期待した成果につながりにくくなります。
この記事では、中小企業がAI活用を相談するときの相談先の種類と、選び方のポイントを解説します。
AI顧問という支援形態について知りたい場合は、AI顧問とは?中小企業が相談できる内容・料金・進め方も参考になります。
AI活用の相談先には種類がある
AI活用の相談先は、大きく分けると次のようになります。
| 相談先 | 向いている相談 |
|---|---|
| AI研修会社 | 社員に基礎知識を学ばせたい |
| DXコンサル | 全社的な業務改革やシステム構想を整理したい |
| システム開発会社 | 業務システムやAI機能を作りたい |
| AI顧問 | 経営者や現場と継続的に壁打ちしたい |
| 現役エンジニア | 実装可能性や技術的な見立てを聞きたい |
どれが正解というより、相談したい内容によって向き不向きがあります。
相談内容が曖昧ならAI顧問型が合いやすい
中小企業では、最初から「このAIシステムを作りたい」と決まっていることは少ないはずです。
むしろ、次のような状態が多いのではないでしょうか。
- AIを使いたいが、何から始めるべきかわからない
- ChatGPTを社内で使わせてよいか不安がある
- どの業務が効率化できるか整理したい
- AI研修を受けても現場に定着するか不安
- 開発するほどの話なのか判断できない
この段階では、いきなり開発会社に見積もりを依頼するよりも、業務整理や壁打ちから始める方が合っています。
AI顧問型の支援では、経営者や担当者と話しながら、業務の棚卸し、優先順位づけ、試すテーマの選定、社内ルール作りなどを進められます。
相談先を選ぶポイント
業務の話ができるか
AI活用は、技術だけでは進みません。自社の業務を理解し、どこにAIを使うと効果があるかを一緒に整理できる相手が必要です。
ツールの機能説明だけでなく、営業、事務、問い合わせ対応、資料作成、マーケティングなどの実務に落とし込めるかを確認しましょう。
リスクの話ができるか
AI活用では、情報漏えい、個人情報、著作権、誤情報などのリスクもあります。
「何でもAIに任せましょう」という相手ではなく、使ってよい範囲、確認すべきポイント、社内ルールまで話せる相手の方が安心です。
小さく試す提案があるか
最初から大規模な導入を前提にする必要はありません。
中小企業の場合、まずは1つの業務で小さく試し、効果が見えたら広げる進め方が現実的です。相談先が小さな検証を提案できるかは重要なポイントです。
相談前に整理しておくこと
相談前に、完璧な資料を用意する必要はありません。ただし、次の3つを整理しておくと話が進みやすくなります。
- 時間がかかっている業務
- 社員が困っている業務
- AI活用で期待している成果
たとえば「問い合わせ対応を早くしたい」「営業資料作成の時間を減らしたい」「社内でChatGPTを安全に使いたい」といった粒度で十分です。
現役エンジニアに相談する価値
AI活用では、実際にできることと、できそうに見えることの見極めが重要です。
現役エンジニアに相談すると、ツールで対応できること、プロンプトで改善できること、システム開発が必要なことを切り分けやすくなります。
また、データの持ち方、業務フローの分け方、既存ツールとの連携など、実務に近い観点で相談できます。
相談先ごとのメリットと注意点
AI活用の相談先は複数あります。それぞれのメリットと注意点を理解しておくと、自社に合う相手を選びやすくなります。
AI研修会社
AI研修会社は、社員に基礎知識を学ばせたい場合に向いています。
ChatGPTの基本操作、プロンプトの考え方、情報漏えいの注意点などを短時間で学べる点がメリットです。社員のAIリテラシーを底上げしたい場合には有効です。
一方で、研修を受けただけでは、自社の業務に定着しないことがあります。研修後に「どの業務で使うか」「誰が継続するか」まで決めないと、学んで終わりになりやすいです。
AI研修が現場で使われない理由は、AI研修は効果ない?現場で使われない理由と定着させる方法でも整理しています。
DXコンサル
DXコンサルは、全社的な業務改革やシステム構想を整理したい場合に向いています。
業務フローの見直し、システム刷新、データ活用、組織体制の検討など、大きなテーマを扱える点が強みです。
ただし、中小企業にとっては費用や期間が大きくなりやすい点に注意が必要です。まずは小さくAI活用を試したい段階では、重すぎることもあります。
システム開発会社
システム開発会社は、作りたいものが明確な場合に向いています。
たとえば、社内FAQチャットボットを作りたい、問い合わせ対応システムを作りたい、既存システムとAIを連携したい、といった相談です。
一方で、課題が曖昧な段階で開発会社に相談すると、何を作るべきかが決まらないまま見積もりが進むことがあります。開発前に業務整理を行うことが重要です。
AI顧問
AI顧問は、継続的に相談しながらAI活用を進めたい会社に向いています。
毎月の相談を通じて、業務の棚卸し、AI活用テーマの選定、社内ルール作り、ツール選定、社員への浸透を進められます。
特に「何から始めるべきかわからない」「社内に詳しい人がいない」「まずは小さく試したい」という中小企業には合いやすい形です。
相談先を選ぶための比較表
相談先を選ぶときは、自社の目的と相談先の得意領域を合わせることが大切です。
| 自社の状況 | 向いている相談先 |
|---|---|
| 社員にAIの基礎を学ばせたい | AI研修会社 |
| 全社的な業務改革を考えたい | DXコンサル |
| 作りたいAIシステムが決まっている | システム開発会社 |
| 何から始めるか相談したい | AI顧問 |
| 実装可能性や技術判断を聞きたい | 現役エンジニア |
相談先を間違えると、提案内容が自社の段階に合わなくなります。最初の段階では、課題を一緒に整理してくれる相手を選ぶのが安全です。
相談前に整理するとよい情報
AI活用の相談では、完璧な資料を準備する必要はありません。
ただし、次の情報を簡単に整理しておくと、初回相談の質が上がります。
現在困っている業務
まず、時間がかかっている業務や、社員が困っている業務を書き出します。
たとえば、営業資料の作成、問い合わせ対応、議事録作成、社内マニュアル整備、採用文面作成などです。
「AIで何ができるか」よりも、「現場で何に困っているか」を伝える方が、具体的な提案につながります。
使っているツール
現在使っているツールも整理しておきましょう。
Google Workspace、Microsoft 365、Slack、Chatwork、Notion、kintone、Salesforceなど、既存ツールによって提案できる内容が変わります。
AI活用は、既存の業務環境と切り離して考えるより、普段使っているツールの中でどう活用するかを考える方が定着しやすいです。
社内の不安
情報漏えい、社員が使えるか、費用対効果が見えるか、著作権が心配など、不安もそのまま伝えて構いません。
不安を隠したまま相談すると、導入後に社内で止まることがあります。最初に不安を共有することで、ルール作りや進め方まで含めた提案を受けやすくなります。
初回相談で確認すべき質問
AI活用を相談するときは、相手に次の質問をしてみるとよいです。
- 自社の場合、最初にどの業務から試すべきか
- その業務でAIを使う場合のリスクは何か
- ツール導入前に整理すべきことは何か
- 社内ルールはどの程度必要か
- 小さく試す場合の進め方はどうなるか
- 開発や研修が必要になる場合はどの段階か
- 月額相談と個別作業の範囲はどこで分かれるか
これらの質問に対して、具体的な業務に落として回答してくれる相手であれば、相談先として信頼しやすいです。
避けたい相談先の特徴
AI活用の相談では、避けた方がよい提案もあります。
いきなり高額な導入を勧める
課題整理をしないまま、高額なツールや開発を勧める相手には注意が必要です。
中小企業では、最初から大きな投資をするより、小さな検証で効果を確認する方が安全です。
リスクの話をしない
AI活用には、情報漏えい、誤情報、著作権、個人情報などのリスクがあります。
メリットだけを強調し、入力してはいけない情報や確認フローの話をしない相手は避けた方がよいでしょう。
業務の話を聞かない
AI活用は、会社ごとの業務によって使い方が変わります。
自社の業務を聞かずに、一般的なツール紹介だけで終わる相談では、実務に落ちにくいです。
AI活用相談の費用感
AI活用相談の費用は、相談内容によって幅があります。
単発相談であれば数万円から、継続的なAI顧問であれば月額数万円から十数万円、システム開発を含む場合は数十万円から数百万円になることもあります。
費用を見るときは、単純な金額だけでなく、何が含まれるかを確認しましょう。
- 定例相談の回数
- チャット相談の有無
- 資料作成やレビューの範囲
- 社内ルール作りの支援
- プロンプト作成の支援
- 開発や研修が別費用かどうか
AI顧問の料金については、月5万円のAI顧問で相談できることで詳しく解説しています。
相談後にやるべきこと
相談を受けた後は、聞いた内容を社内で実行する必要があります。
おすすめは、相談内容を次の3つに分けることです。
- すぐ試すこと
- 社内で決めること
- 後で検討すること
たとえば、すぐ試すことは「営業メールの下書きにChatGPTを使う」、社内で決めることは「入力禁止情報を決める」、後で検討することは「問い合わせ対応のAI化を検討する」といった形です。
相談しただけで終わらせず、小さな行動に落とすことが重要です。
相談先選びのチェックリスト
最後に、相談先を選ぶときのチェックリストをまとめます。
- 自社の業務を丁寧に聞いてくれる
- 小さく試す提案がある
- リスクや社内ルールの話ができる
- ツール導入ありきではない
- 費用と支援範囲が明確
- 開発が必要な場合と不要な場合を切り分けられる
- 中小企業の現場感に合っている
この条件に当てはまる相談先であれば、AI活用を現実的に進めやすくなります。
相談内容別の依頼例
AI活用の相談では、相談内容を具体的に伝えるほど、実務に近い回答を得やすくなります。
ChatGPTを社内で使いたい場合
この場合は、ツールの使い方だけでなく、社内ルール、入力禁止情報、利用する業務を相談します。
相談時には、社員にどのような業務で使ってほしいのか、現在どのような不安があるのかを伝えるとよいです。
業務効率化したい場合
業務効率化が目的の場合は、時間がかかっている業務を具体的に伝えます。
「AIで効率化したい」だけではなく、「営業資料作成に毎週5時間かかっている」「問い合わせ回答が担当者によってばらつく」と伝えると、提案が具体的になります。
AIツールを選びたい場合
ツール選定の相談では、いきなり候補ツールを比較する前に、利用目的と対象業務を整理します。
同じAIツールでも、議事録、資料作成、社内検索、問い合わせ対応では見るべきポイントが変わります。
AI研修を検討している場合
AI研修を相談する場合は、研修後にどの業務で使わせたいかまで相談しましょう。
研修だけで終わらせず、業務への落とし込み、活用例の共有、相談先の設置まで考えると定着しやすくなります。
AI活用相談で成果を出す会社の特徴
AI活用相談で成果を出しやすい会社には、いくつか特徴があります。
まず、経営者や管理職が目的を持っていることです。「話題だから使う」ではなく、「営業準備の時間を減らしたい」「問い合わせ対応を安定させたい」といった目的があると、相談内容が具体的になります。
次に、現場の業務を共有できることです。外部の専門家は社内の細かい事情を最初から知っているわけではありません。現場で困っていること、使っているツール、社内の制約を伝えることで、現実的な提案を受けやすくなります。
最後に、小さく試す姿勢があることです。最初から全社導入を目指すより、1つの業務で検証し、効果を確認して広げる方が成果につながりやすくなります。
相談しても成果が出にくいケース
反対に、相談しても成果が出にくいケースもあります。
目的が曖昧なまま丸投げする
「AIで何かできませんか」と丸投げすると、提案も一般論になりやすいです。
もちろん、最初から明確な答えがなくても構いません。ただし、困っている業務や期待する成果は伝える必要があります。
社内で決める人がいない
AI活用では、ツール選定、利用範囲、社内ルールなど、会社として決めることがあります。
相談先が提案しても、社内で決める人がいなければ進みません。経営者または責任者が関わることが重要です。
一度の相談で完璧な答えを求める
AI活用は、実際に試しながら調整する部分が多いです。
一度の相談で完全な正解を出すより、最初の一歩を決め、試して、改善する進め方の方が現実的です。
初回相談後の進め方の例
初回相談の後は、次のように進めると実行につながりやすくなります。
- 相談内容を社内で共有する
- 最初に試す業務を1つ決める
- 入力禁止情報と確認担当を決める
- 2週間から1か月試す
- 結果を相談先に共有する
- 改善点を整理して次の業務に広げる
この流れにすると、相談が単なる情報収集で終わりません。
AI活用は、知識を得るだけではなく、業務で使って初めて成果になります。相談先は、その実行を進めるための伴走相手として活用するとよいでしょう。
相談先を変えた方がよいタイミング
相談を続けても具体的な行動に落ちない場合は、相談先を見直すことも必要です。
たとえば、毎回一般論で終わる、ツール紹介ばかりで業務改善に踏み込まない、リスクや社内ルールの話が出ない、費用範囲が曖昧なまま進む場合は注意が必要です。
AI活用の相談先は、知識があるだけでなく、自社の状況に合わせて次の一歩を具体化できる相手を選ぶべきです。
まとめ
AI活用の相談先は、研修会社、DXコンサル、開発会社、AI顧問、現役エンジニアなど複数あります。
自社の相談内容がまだ曖昧な段階では、業務整理や壁打ちから始められる相談先が向いています。最初から大きな導入を前提にせず、小さく試せる相手を選ぶことが大切です。
AI活用の相談内容を整理したい場合は、無料相談から自社の状況を話してみてください。